文部科学省指定事業EDGE-PRIME Initiative
高校生等にアントレプレナーシップ教育を拡大する事業
「EDGE-PRIME Initiative」に採択されました。
高等学校等へのアントレプレナーシップ教育の拡大を目的とした文部科学省事業である「EDGE-PRIME Initiative」の事業指定を受け、2023年度には山形県立鶴岡工業高等学校の「総合的な探究の時間」のカリキュラム作成及び授業での指導を、学校と協働して行いました。
また、弊センターのアントレプレナー人材育成プログラムである「i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラム」を学校の先生方に受講いただき、受講された成果として、生徒チームや個人へのメンタリング(指導・助言)を目的とした「メンタリング指導書」作成も行いました。
当センターが小中高向けに提供できる支援メニュー
(リード文を記載予定:当センターでは、学校の実情やご要望に応じて、以下のような支援を行っております。)
- 「総合的な探究の時間」等のカリキュラム設計支援
- 出張授業、ゲスト講演
- 教員向けのアントレプレナーシップ研修
- その他、学校側のご要望に応じた連携
導入事例1:山形県立鶴岡工業高等学校 ―「鶴岡から次世代産業を創ろう」をテーマとした協働プログラム
山形県立鶴岡工業高等学校と当センターは、2023年度より「総合的な探究の時間」を活用した協働プログラムを実施しています。テーマは「鶴岡から次世代産業を創ろう」。地元・庄内地域の産業や社会の未来を、高校生自身がビジネスプランという形で構想する取り組みです。文部科学省の「EDGE-PRIME Initiative」事業として、文部科学省発行の『教育委員会月報』(令和5年10月号)でも、全国に向けた先進事例として紹介されました。
プログラムの概要
対象は2年生全員。年間を通じて「総合的な探究の時間」を活用し、生徒はチームに分かれてビジネスプランを練り上げ、中間発表・最終発表へと段階的に磨き込んでいきます。メイン講師は当センター長の小野寺忠司、副センター長の菅生達仁が務め、高校が自律的にアントレプレナーシップ教育を継続できる体制づくりを目指して、年間を通して伴走支援を行っています。
3つの柱で構成される協働プログラム
本プログラムは、生徒の学びと先生方の指導力育成を一体で進める設計になっており、次の3つの柱で構成されています。
- 社会課題の発見と解決に結びつけるための基礎学習:起業家精神、社会課題の捉え方、ビジネスプランの構築方法、プレゼンテーションといった、新しい価値を生み出すための基本的な知識・技術を学びます。
- 生徒チームによるビジネスプラン作成:先生方がメンターとなり、生徒チームが地域や暮らしの中から課題を見出し、解決策をビジネスプランとして形にしていきます。中間・最終発表会を通じて、構想を磨き上げる経験を積みます。
- 教員をアントレプレナーシップ教育の指導者として育成:先生方は、生徒へのメンタリングを通じて、アントレプレナーシップ教育の指導法そのものを身につけていきます。プログラム終了後も学校内で継続的に展開できる体制を見据えた、人材育成の仕組みです。
工業高校での実践が拓く、地域産業の次の担い手づくり
鶴岡工業高校での実践は、ものづくりの素養を持つ高校生が、自らの専門性を起点に「事業」「価値創造」という視点で地域を捉え直す機会となっています。技術の習得にとどまらず、その技術をどう社会に届けるか、誰のどんな課題を解決するかを考える経験は、卒業後にどの進路を選んだとしても、変化の激しい時代を主体的に切り拓くための土台となります。「鶴岡から次世代産業を創ろう」というテーマには、地域の産業基盤を未来へとつないでいく担い手を、高校段階から育てていきたいという、学校と当センター双方の願いが込められています。
導入事例2:新庄東高等学校―「Eコース」を全面リニューアル、3年間で「起業できる力」を育むカリキュラムへ
新庄東高等学校では、当センターと協定を結び、同校「Eコース」を全面リニューアル。「高校在学中に起業できる力を養う」ことを掲げ、3年間を通じてアントレプレナーシップ教育を体系的に組み込んだカリキュラムを展開しています。「総合的な探究の時間」を活用する形が広まりつつあるなかで、Eコースという「コースそのもの」にアントレプレナーシップ教育を実装している点に、同校の事例の大きな特徴があります。
プログラムの概要
新庄東高校との連携は、田宮校長と当センター長・小野寺忠司との協定締結によりスタートしました。Eコースの時間割には「アントレ入門」が正規授業として週1コマ組み込まれているほか、論理コミュニケーション、ICTを活用したアダプティブラーニング、英語教育がコース全体を構成する柱となっています。当センターからは副センター長・菅生達仁が継続的に授業を担当し、3年間を見据えた学びを伴走支援しています。
マインドセットから実践へ ― 4段階で「リーダー人材」を育てるステップ
本プログラムは、生徒の学びを「インプット教育」と「アウトプット教育」の2フェーズに分け、4つの段階を経てリーダー人材の育成というゴールを目指す設計です。
- マインドセット(精神)育成:社内新事業リーダー・起業家に必要な精神を養う段階。
- スキルセット(技能)育成:新事業化・起業に必要な基本知識と技能を習得する段階。
- 議論・発表:コミュニケーション力、表現力、発信力を磨く段階。
- 実践・実施:グループワークによるビジネスプランの構築に取り組む段階。
段階を踏むごとに、知識のインプットから自らの言葉で発信し形にするアウトプットへと、学びの重心を移していく構造です。
「コース」として実装することで広がる、生徒の未来の選択肢
新庄東の取り組みのもう一つの特徴は、教室での学びと実践活動が密接に結びついている点です。生徒たちは、自分たちが日々使う学習机の天板を企画・制作したり、学校行事の出店ブースで集客のためのマーケティング戦略を立てて実行したりと、「自分で考え、形にし、検証する」サイクルを繰り返し経験しています。同校が掲げる目指す進路は「起業、国内外進学、世界での活躍を視野に入れた就職」。3年間を通じてアントレプレナーシップを積み重ねることで、卒業後の進路の一つとして「起業」も含めた多様な選択肢を、生徒一人ひとりが現実的に描けるようになっていきます。
導入事例3:酒田市立第二中学校 ― 県内中学校で初の総合学習導入、「酒田をPRするカプセルトイ」を中学2年生が企画
酒田市立第二中学校(田中大校長、生徒292人)は、山形県内の中学校に先駆けて、総合学習にアントレプレナーシップ教育を導入した学校です。当センターは令和6年度から同校との連携プログラムを開始しました。山形県の第7次県教育振興計画(令和7年度から、おおむね10年の教育行政の指針)に「起業家教育(アントレプレナーシップ教育)の展開」が盛り込まれた流れの中で、県内における中学校段階での先進事例として注目を集めています。
プログラムの概要
本プログラムは、生徒の起業や経済活動への興味・関心を高め、チームワークやリーダーシップを養うことを目的に設計されています。令和7年度は2年生87名を対象とし、年間5回の授業を実施。テーマは「酒田をPRするカプセルトイ」です。市内の商業施設「いろは蔵パーク」への設置を見据え、生徒は3〜4名のチームに分かれて、価格500円で販売されるカプセルトイの商品アイデアを企画していきます。当センター長・小野寺忠司を中心に、地域の民間アドバイザーも交えた体制で授業が進められ、最終回の発表会で選ばれた優秀作品については、実際に商品化することも検討されています。
「アイデアが本当に商品になる」ことが学びを駆動する
本プログラムの大きな特徴は、生徒たちが机上の演習としてではなく、実際の店舗に並ぶ商品として商品化される可能性を視野に入れて企画に取り組んでいる点です。第1回の授業に登壇した南陽市の企業「山のむこう」阿部公一取締役は、「誰にどんなものを作ったら誰が喜ぶか、どんな年代の人がどんなふうに購入するのかを考えて」と生徒たちにアドバイス。「今は発想次第でいろいろなものが作られる。いろは蔵のどこに置くのかもイメージして」と、消費者視点と販売現場の両面から発想を促しました。生徒たちからは、鳥海山やラーメンといった酒田の地域資源を、かわいい動物のモチーフと掛け合わせるアイデアや、酒田灯台・北前船をモチーフにしたミニチュアなど、自由な発想が次々と飛び出しています。
地域全体で生徒の学びを支える設計
中学校段階でのアントレプレナーシップ教育には、高校・大学とは異なる固有の役割があります。職業選択や進路選択を本格的に意識する前の段階だからこそ、「誰かの困りごとを起点に価値を生み出す」「アイデアを形にして他者に届ける」という思考の枠組みに、柔軟に触れられるからです。酒田二中の取り組みでは、当センター(大学)、地元の民間アドバイザー、商品の設置先となる商業施設「いろは蔵パーク」が、それぞれの立場で生徒の学びに関わる体制が形作られています。
参考:荘内日報
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