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新事業創出に必要なノウハウ、スキルを実践的に学ぶ山形大学発の人材育成プログラム2023スタート | 山形大学 i-HOPE | 2023年5月講義レポート

2023年5月、「山形大学人材育成プログラム「i-HOPE 」2023 新事業創出イノベーションプログラム」が始まりました。

本プログラムの目的は
「起業家が歩むプロセスを一通り経験し、イノベーションマインドを身につける」

新事業創出に必要な起業家精神と知識・スキルを学ぶことができる、山形大学とコロンビアビジネススクール公式プログラムVenture for ALLⓇが連携したプログラムです。

昨年開催した様子はこちらをご覧ください。
目指すはスタートアップ企業の創出!山形大学で学ぶアントレプレナーシップ教育 | 山形大学 i-HOPE | 2022年5-10月講義レポート

期間は2023年5月から12月の約8か月間、隔週土曜日開催で講義日は全17回。

5月の講義は
第1回目(5月13日)
「入塾式 / 基調講演:ビジネスを成功に導く視点&起業に必要なマインドセット」
「オリエンテーション、Check-in」「パネルディスカッション(コーディネーター)」

第2回目(5月27日)
「2-1:ビジネススプリングボード① 未来を描く、課題に向き合う」
「2-2:チームワーク① 地域課題発掘、テーマ発掘」「2-3:チームワーク② ビジネスアイデア創出」

第一回目の講義では、今期の授業に関しての説明と、特別講師による基調講演を行いました。
第二回目の講義では、ビジネスプランを検討する際の基本的ステップや初期検証の方法について解説していただきました。また、フィールドワークを行う地域の関係者の方から、地域の紹介のほか、課題意識、社会ニーズなどについて説明していただきました。

本記事では、i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラムの5月の講義内容についての紹介を行います。こちらの記事は主に下記のような人向けの記事です。

  • 「i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラム」の講義内容に興味のある人
  • 「アントレプレナーシップ教育」に興味のある人
  •  新規事業に携わる方、現業で新たな発想を求められる方
  • 「スタートアップ」に興味のある人
  • 「起業」に興味のある人

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目次
1. 講義(2023年5月13日)
 ・「1-1:基調講演:ビジネスを成功に導く視点&起業に必要なマインドセット」
 ・「1-2:オリエンテーション、Check-in」
 ・「1-3:パネルディスカッション(コーディネーター)」
 ・受講生の声
2. 講義(2023年5月27日)
 ・「2-1:ビジネススプリングボード① 未来を描く、課題に向き合う」
 ・「2-2:チームワーク① 地域課題発掘、テーマ発掘」
 ・「2-3:チームワーク② ビジネスアイデア創出」
 ・受講生の声
3. 6月の講義予定
4. まとめ
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1. 講義(2023年5月13日)

第一回目の講義は山形大学小白川キャンパスにて開催されました。
受講生は、教室での対面の他、オンラインでの受講も可能です。
山形にくることが難しい、県外の受講生の皆さんも安心して受講することができます。

・「1-1:基調講演:ビジネスを成功に導く視点&起業に必要なマインドセット」

山形大学客員教授
三井住友信託銀行 副会長執行役員
NES(New Ecosystem for Startups)株式会社 取締役

野口 謙吾(のぐち けんご)氏

大手事業法人向け融資、プライベートエクイティ・クレジット投資などの自己勘定投資業務に従事。プライベートエクイティファンドにおいて投資委員、諮問委員会メンバー等を歴任し、成長企業へのサポートで実績を上げる。
日本のどこであっても自らのアイデアをビジネス化できるというきっかけを提供していきたいという想いから、レジェンド・パートナーズとNESを共同設立し、取締役(非常勤)に就任。


挑戦して計画通りに到達点に達しないのは「失敗ではなく「学び」

野口氏「学んでいる人は次成功する確率が高くなる。やってみて、やりながら学んで繰り返していく。ここだと思います。」

起業は課題解決の手段の一つ

野口氏「ぜひ、この授業を通じて知識を吸収するのではなく、どうやって課題を見つけて、どうやって課題を解決するのか。そのプロセスを学ぶためのカリキュラムだと思っていただき、最後はフィールドワークで自分の考えを試してみる。これを是非やっていただきたい」

アントレプレナーシップ教育の重要な3要素、プログラムで学ぶ際に重要なこと、新事業創出に対する代表的な5つの視点など、i-HOPEプログラムを始める前に知っておくとよいエッセンスや考え方について解説していただきました。

受講生との質疑応答の様子

・「1-2:オリエンテーション、Check-in」

「1-2:オリエンテーション、Check-in」の前半では、i-HOPEプログラムの概要やi-HOPEプログラムで学べる事、グランドルールについての説明、後半では、履修者自身による履修目的の認識の確認と言語化を行いました。

<オリエンテーション>

山形大学 准教授
アントレプレナーシップ教育研究センター 副センター長
CBS-VFA® ⽇本版ファウンダー・代表
株式会社ライズベース代表取締役
米IEG Global Association, General Manager

菅生 達仁(すがおい たつひと)氏

2015年より、コロンビアビジネススクールとパートナーを組み、Venture For All®で主任講師を務める傍ら、企業研修プログラムの構築と講師を務め、人材育成を担う会社を起業し代表を務める。

新規事業開発や営業・マーケティング、リーン、シックスシグマ、チェンジマネジメント等の事業改善・トランスフォメーション推進等、トップラインの成長推進からオペレーションの適正化まで、幅広い実務経験と Fortune100 クラスの企業研修を多数受け持つ。

2023年4月より、山形大学 准教授、アントレプレナーシップ教育研究センター 副センター長に就任。


<グランドルール>
・積極的に失敗をしましょう
・くだらない質問はありません
・どんな発言も責められません

菅生氏「発言の内容に良いも悪いもありません。誰がどんな質問をしても有難いと思い、チームでのワークでも誰がどんな失敗をしても絶対に責めない。皆さんでこのグランドルールを意識して臨みましょう」

<Check-in>

山形大学 客員准教授
一般財団法人SFCフォーラム 事務局長
SFCフォーラムファンド ファンドマネージャー

廣川 克也(ひろかわ かつや)氏

2005年より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスインキュベーションマネージャーとして着任、起業家に対する事業計画作成、資金調達、販路拡大支援等を実施。海外学生ビジネスコンテストにアドバイザーとして参加、2009年、 2010年にはGlobalTic@台湾でアジア最優秀賞、2009年I2P Global Competition ではチームを世界一に導く。

2012年に一般財団法人SFCフォーラムを設立し、事務局長に就任。2017年にはSFCフォーラムファンドを設立、ファンドマネージャーに就任。


本講義では、i-HOPEプログラム終了時点での理想像、達成したい目標、期待などを記名式で記載していただき、目標の明確化を図ります。

その後、受講生同士で数名でグループを作り、自己紹介やアイディア共有など交流しました。

年齢、性別、職業、居住地、それぞれバラバラな人たちが集まりチームを組んでの意見交換。
i-HOPEプログラムを通して新しい繋がりを作っていきましょう。

・「1-3:パネルディスカッション(コーディネーター)」

今年度のi-HOPEプログラムの講義を担当し、履修者の成長をサポートするコーディネーター4名より、事業創造・起業・起業支援・投資等の活動を紹介していただきました。

4名のコーディネーターによるパネルディスカッションを通じ、リーダーに必要な起業家精神の重要性、成功するビジネス を構築するノウハウ、様々な事例について解説していただきました。

(左)菅生 達仁氏、(右)戸田 達昭氏
(左)廣川 克也 氏、(右)張 穎超 氏

・受講生の声

〇学生
「自分の知見を広げたい」という想いがあり今回参加いたしました。
大学だとその専門分野しか学べないので、経営や一般の方の視点を医者になるときに活かしたり、「医師という資格を活かして何か事業ができると良いな」と思っています。
初回の講義では、「不安な気持ちも多かった」のですが、一つ一つの言葉が自分には今までなかったものが多く、とても良かったです。

〇学生
参加したきっかけは、自分が目指していた職業に危機感を持ったということと、自分で新しいものを作ってみたいと思ったからです。初回の講義を受け、「絶対起業しよう」と思いました。
社会で働いている人たちに刺激を受け、自分の力で挑戦してみたいという気持ちがわきました。

〇社会人
自分のリソースやメンタル面を色々と学びたいと思い参加し、今日の講義を受けて「すごい面白そうだな」と思いました。
「自分の事業をブラッシュアップしたい」という想いもあるのですが、今日の講師の先生方の話を聞いて「セルフコントロール」できるようになりたいなと思いました。
感覚的に分かっていたことでも、理論として体系的に学ぶことによって、他の人に伝えやすくなると思いました。

2. 講義(2023年5月27日)

第二回目の講義は山形県最上地方にある金山町のホテル「シェーネスハイム金山」にて開催しました。

こちらの会場に、i-HOPEプログラムでフィールドワークを行う最上地方の三町村の関係者の方と講師の皆さんが集まり、オンラインにて受講生の皆さんに講義を配信いたしました。

シェーネスハイム金山から見える景色

最上地方は全国でも有数の「巨木の里」として知られ樹齢1,000年超の巨木がそびえる「幻想の森」やジブリのトトロのような姿の「小杉の大杉」などの原風景が存在する神秘的な地域です。

是非、受講生の皆さんは、7月に行うフィールドワークで、自然の溢れる最上地域を探検してみてください。
沢山の気づきがありそうですね。

まず初めに、本プログラムのメイン講師である小野寺センター長よりご挨拶頂き、第二回目の講義がスタートしました。

小野寺センター長は、7月に実施するフィールドワークや、チームワーク、メンタリングなど幅広い業務を担当していただきます。

また、10回目の講義、15回目の講義でも講師としてご対応いただきますので、受講生の皆さんは楽しみにしてお待ちください。

山形大学 教授
アントレプレナーシップ教育研究センター センター長
小野寺 忠司(おのでら  ただし)氏

2012年NECパーソナル執行役員を経て、レノボ役員に就任。世界最軽量PC開発ではBest of CES Awards 2015ベストPC賞を受賞した経歴を持つ。新しい取り組みとして人工知能開発をSRI(旧スタンフォード大学研究所)と共同開発しベンチャーを設立。

2017年4月レノボを退職して山形大学へ。山形大学 国際事業化研究センター長、その後有機材料システム事業創出センター長を経て、2022年アントレプレナーシップ教育研究センターを設立し、イノベーション創出に向けた開発やアントレプレナー教育、企業経営指導、起業家育成を行い5年間で16社のベンチャーを立ち上げた。

インタビュー記事はこちら(https://emotional-link.co.jp/onodera-prof/

・「2-1:ビジネススプリングボード① 未来を描く、課題に向き合う」

講師:廣川 克也(ひろかわ かつや)氏


アイディアをビジネスにする9ステップ

本プログラムでは、最終成果物として、ビジネスプランを作成していただきます。

効果的かつ印象に残る事業計画書を構成すための必要項目やストーリーの重要性について学んでいただくために、新事業創造を検討する際の基本的なステップや初期検証の方法について解説していただきました。

「起業に興味があるけど、どのようにビジネスプランを考えたらよいのか分からない」という方におすすめの講義です。
また、自分以外の受講生がどのようなビジネスプランを考えているのかを知ることができるため、とても良い刺激になりますね。

・「2-2:チームワーク① 地域課題発掘、テーマ発掘」

i-HOPEプログラムでは、山形県北部の最上地域を対象にフィールドワークを行います。
受講生同士で数名のチームをつくり、現地視察を行い、地域の課題解決のアイディアを考案します。

本講義では、当該地域の方々*をお招きし、地域の紹介のほか、課題意識、社会ニーズなどについて説明していただきました。
*地域活性に取り組んでいる地元リーダー、行政や企業からのゲスト等

金山町

真室川町

鮭川村

地域ごとに魅力があり、地域ごとに課題があると思います。

是非、7月のフィールドワークでは現地で最上地域の自然、人、文化、食を体験して課題を解決するアイディアを考案してみてください。

・「2-3:チームワーク② ビジネスアイデア創出」

講師:廣川 克也(ひろかわ かつや)氏
講師:菅生 達仁(すがおい たつひと)氏


五感をフル活用して、体感する

廣川氏より、「“顧客視点”のフィールドワーク術」として、フィールドワークで気を付けるべきことやコツ、事前準備を教えて頂きました。

ビジネスプランの作成は、個人ではなくチームで取り組みます。

様々な背景を持つ人々との交流や議論を行うこと、多様な意見を取りまとめること、幅広い資源を活用すること等を学ぶことが目的です。

本講義では チーム内で交流し、理解を深め、共通の関心事やテーマを探っていただき、チーム組成の準備を進めていただきました。

・受講生の声

〇社会人
初回の講義では、「起業やアントレプレナーってなんだろう」「自分は何をしていけばいいのだろう」と不安な気持ちもあったのですが、今回の前半の講義では、「ビジネスやアイディアってこういう所から考えていくのか」ということが分かり、自分の中で進むべき道が明確になり、「頑張っていきたい!」と思えるようになりました。
また、職種など関係なく交流できるため、今回参加している受講生の皆さんがそれぞれ描く未来像などを知ることもでき興味深かったです。

3. 6月の講義スケジュール

6月の講義は、5月の講義に引き続き、ビジネススプリングボードを使い、ビジネスプランの考え方を学び、各々でワークを行います。また、ゲスト講師2名による講義では、マーケティングやトライセクターという考え方について学びます。

6月10日

  • 3-1:ビジネススプリングボード②「価値を確立する」 講師:廣川 克也氏
  • 3-2, 3:チームワーク③(アイデア創出ワークショップ) 講師:菅生 達仁氏、小野寺 忠司氏、廣川 克也氏、戸田 達昭氏

6月24日

  • 4-1:マーケティングの最前線 講師:白根 有一氏
  • 4-2, 3:トライセクター戦略 講師:小松 洋介氏

4.まとめ

本記事では、「山形大学人材育成プログラム「i-HOPE 」2023 新事業創出イノベーションプログラム」の第一回、第二回の講義内容をお伝えしました。

「起業」や「新規事業創出」というと私たちには関係のないようなすごい人たちにしかできないものだと思いがちですが、実はそうではありません。

今では沢山のひとが使っているような商品やサービスも、身の回りにあるちょっとした課題から生まれたのかもしれません。

是非、このプログラムを通して、「新たな事業に挑戦する姿勢やスキル」を身に着けていきましょう。