お知らせNews

現地視察&ビジネスアイデア創出ワークショップ | 山形大学 i-HOPE | 2023年7月講義レポート

2023年5月、「山形大学人材育成プログラム「i-HOPE 」2023 新事業創出イノベーションプログラム」が始まりました。

本プログラムの目的は
「起業家が歩むプロセスを一通り経験し、イノベーションマインドを身につける」

新事業創出に必要な起業家精神と知識・スキルを学ぶことができる、山形大学とコロンビアビジネススクール公式プログラムVenture for ALLⓇが連携したプログラムです。

昨年開催した様子はこちらをご覧ください。
目指すはスタートアップ企業の創出!山形大学で学ぶアントレプレナーシップ教育 | 山形大学 i-HOPE | 2022年5-10月講義レポート

期間は2023年5月から12月の約8か月間、隔週土曜日開催で講義日は全17回。

7月の講義は
第5回目(7月8日)
「5-1:VFA プログラム プロダクトアウトとマーケットイン」
「5-2:ソーシャルイノベーションの創り方」
「5-3:チームワーク④(フィールドワーク準備)」

第6回目(7月22, 23日)
「6:フィールドワーク 最上地区」

第5回目の講義では、商品やサービスを生み出す上で重要な「プロダクトアウトとマーケットイン」の考え方と今世の中に求められている「ソーシャルイノベーション」の創り方について学びました。
第6回目の講義では、本プログラムの大きな特長の一つでもある最上地区での「フィールドワーク」を実施し、現地でのヒアリングをもとに各チームでビジネスプランを考案しました。

本記事では、i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラムの7月の講義内容についての紹介を行います。こちらの記事は主に下記のような人向けの記事です。

  • 「i-HOPE 新事業創出イノベーションプログラム」の講義内容に興味のある人
  • 「アントレプレナーシップ教育」に興味のある人
  •  新規事業に携わる方、現業で新たな発想を求められる方
  • 「スタートアップ」に興味のある人
  • 「起業」に興味のある人

=========================
目次
1. 講義(2023年7月8日)
 ・「5-1:VFA プログラム プロダクトアウトとマーケットイン」
 ・「5-2:ソーシャルイノベーションの創り方」
 ・「5-3:チームワーク④(フィールドワーク準備)」
2. 講義(2023年7月22, 23日)
 ・「6:フィールドワーク 最上地区」
 ・受講生の声
3. 8月の講義予定
4. まとめ
==========================

1. 講義(2023年7月8日)

・「5-1:VFA プログラム プロダクトアウトとマーケットイン

講師:菅生 達仁(すがおい たつひと)氏




プロダクトアウトとマーケットイン

菅生氏「世の中の課題に気付き、その課題を解決する製品やサービスを提供することを“マーケットイン”と言います。この考え方が現代の主流であり、本プログラムでも一貫して伝えていることです。一方、“マーケットイン”には弱点もあり、それを補うのが“プロダクトアウト”です。」

プロダクトアウトとマーケットインに関して、それぞれの特徴を、実例をもとに教えて頂きました。

既にあるものから着想を得る

菅生氏「アイデアの話をします。どうすればアイデアは出てくるのでしょうか?」

アイデアの発想方法についてのコツや考え方について教えて頂きました。



・「5-2:ソーシャルイノベーションの創り方」

山形大学 客員教授
HIRO SOCIAL PRODUCE LABO 代表
京都芸術大学芸術教養センター 客員教授
講師:渡辺 広之(わたなべ ひろゆき)氏

埼玉県立浦和高校、早稲田大学政経学部政治学科を卒業後、株式会社電通に入社。セールスプロモーション作業を経て、1985年のつくば万博政府館、ハウステンボス、宮城県サンファンパークのテーマパーク事業、山口きらら博、横浜博覧会、全国植樹祭等のプロジェクトのプロデュースを担当。その後、ソーシャルビジネスの組織を自ら立ち上げ、新日本様式、JFWの日本ブランド及び観光立国 (VJC)の立ち上げ、スタジアム&都市公園の委員、観光、地域活性化の国及び自治休の委員、都市&地域プロジェクトのプロデューサー、アドバイザーを多数経験。


ソーシャルデザインとソーシャルイノベーション

渡辺氏「ソーシャルとは社会全体。ソーシャルイノベーションを起こす前に、その計画としてソーシャルデザインがあります。そして、ソーシャルイノベーションの実践が今世の中に求められています。」

ソーシャルイノベーション、ソーシャルデザインについての解説やイノベーターのマインドセットについて、企業の実例や実際に渡辺氏が関わったプロジェクトをもとに説明していただきました。

社会課題を解決し、より良い未来を作ること

ソーシャルイノベーションを起こすためには何が必要か。京都を中心に、 1000 年先まで続く「文化で未来を作る」をコンセプトに活動をされている渡辺氏をお招きし、そのエッセンスを解説していただきました。

・「5-3:チームワーク④(フィールドワーク準備)」

講師:廣川 克也(ひろかわ かつや)氏


5-3では、チームに分かれ、3町村の地域課題、資源をテーマにビジネスアイデアを検討しました。

講師、コーディネーターの皆様に、ご指導・ご助言を頂きながら、チームワークを進めました。

2. 講義(2023年7月22, 23日)

・「6:フィールドワーク 最上地区」

本プロジェクトで、大きな特長の一つでもある最上地区でのフィールドワーク&ワークショップを1泊2日の合宿形式で実施しました。

受講生74名の内、68名(現地60名、オンライン8名)と多くの受講生が参加し、講師、メンター、関係者を含めると、総勢90名の参加者となり大盛況となりました。

1日目 開会式

開会式を新庄駅直結の複合文化交流施設「ゆめりあ」1Fの「花と緑の交流広場」にて実施しました。

最上広域交流センター「ゆめりあ」
ゆめりあ1F「花と緑の交流広場」での開会式の様子
ゆめりあ1F「花と緑の交流広場」での開会式の様子

1日目フィールドワーク(金山コース、真室川コース、鮭川コース)

受講生は金山、真室川、鮭川の3コースに分かれ、各地域の施設を訪問し、現地の方や講師・メンターの方から町やその町の施設について説明を受け、ヒアリングも行いました。

本記事では、金山コースと真室川コースの内容を一部ご紹介いたします。

・金山コース

金山町は秋田県に隣接する人口約5,000人の町で、農林業が基幹産業です。
都市景観大賞、毎日・地方自治大賞等多数受賞しており、街並み景観に対して意識的に取り組んでいます。

マルコの蔵の見学

マルコの蔵は、江戸時代の老舗の商家が所有していた建物を整備した交流施設で、ギャラリーやサロン、展示・資料室があります。

マルコの蔵でのヒアリングの様子
金山住宅についての説明の様子

大工棟梁 渡部様より、白壁と切り妻屋根をもつ、在来工法で建てられた金山住宅について説明していただきました。受講生の皆さんは、金山住宅の魅力や強み、現状などについて、実際に住宅を見学しながらヒアリングを行いました。

金山住宅の見学の様子

金山コースでは、上記の「金山住宅とかねやまの街並み」の見学に加え「環境木材や屋外製品の加工所」、「いわな養殖場」の見学も行いました。

・真室川コース

真室川町は、秋田県に隣接する人口約6,800人の町で、地域の大部分が森林で占められた、林業の町です。
同町にある製材会社を訪れ、木材の加工設備や加工工程について説明していただきました。

株式会社庄司製材所 工場見学の様子

株式会社庄司製材所は真室川町に本社・工場を置き、金山町にも工場を持つ製材会社です。
製材事業の他にも、製材過程で生じる樹皮や背板などの端材などを原料に、木質バイオマス燃料のチップやペレットの製造も行っています。

株式会社庄司製材所 工場見学の様子
株式会社庄司製材所 工場見学の様子
丸太と山を背景に記念撮影

真室川コースでは、上記の「株式会社庄司製材所 工場」の見学に加え、「株式会社あべ農場」の見学、「地元産の食材で作ったおはぎ(雪のおはぎ・風花)」の試食も行いました。

2日目 チームワーク:ビジネスアイデア創出、メンタリング

2日目は、ビジネスアイデアを創出するワークショップを実施しました。
1日目に行った地域でのヒヤリングから、今まで検討してきた地域課題の検証を行い、メンターのメンタリング指導を受けながら、課題解決のビジネスアイデア検討を実施しました。

ワークショップの様子
ワークショップの様子

限られた時間の中で、ビジネスアイデアをまとめ、発表資料の作成を行いました。

2日目 チーム発表

合宿の最後には、これまで各チームで検討してきたビジネスアイデアをメンターの皆様と受講生の皆様に発表しました。

チーム発表の様子
チーム発表の様子

発表時間は3分。その3分に想いを込めて発表します。
発表の後にはメンターよりコメントをいただきました。

小野寺塾長からのコメントの様子
メンターからのコメントの様子

メンターから「その発想は面白い!」と言われるビジネスアイデアもあれば、「もう少しターゲットの解像度を上げた方がよい」等、アドバイスを受けたチームもあり、とても有意義な時間となりました。

2日目 閉会式

閉会式では、メンターの廣川氏と湯川氏より、今後の期待を込めて受講生へコメントを頂きました。

廣川氏のコメントの様子
湯川氏のコメントの様子

・受講生の声

〇社会人
フィールドワークに参加して、各町の課題を理解すると同時に、一つの町の良い側面に改めて気づくことができました。さらに、地元の人々と交流する機会をいただき、彼らと一緒に「こんな取り組みができたら面白いよね」と同じ目線で話し合うことができて嬉しかったです。こうした経験は自分にとっての財産ですね。今回のフィールドワークで、そのような財産を手に入れることができました。

3. 8月の講義スケジュール

8月の講義は、6月に引き続きビジネス・スピリングボードの使い方について学びます。また、ゲスト講師より、アイデアの生み出し方や人を動かすプレゼンテーションのノウハウ、今求められるリーダーシップなどについて解説していただきます。

8月5日

  • 7-1:ビジネス・スピリングボード③ 「事業を構築する」 講師:廣川 克也氏
  • 7-2:Idea, Passion, Start with WHY 講師:マンジョット・ベティ 氏
  • 7-3:チーム・ワーク⑤(課題の深堀、顧客ニーズ分析、アイディア再検証) 講師:菅生 達仁氏、小野寺 忠司氏、廣川 克也氏、戸田 達昭氏

8月26日

  • 8-1:グローバル・リーダーシップ 講師:谷本 有香氏
  • 8-2:人を動かすプレゼンテーション 講師:武田 昌大氏
  • 8-3:チーム・ワーク⑥(課題解決の検証、中間発表に向けた準備) 講師:菅生 達仁氏、小野寺 忠司氏、廣川 克也氏、戸田 達昭氏

4.まとめ

本記事では、「山形大学人材育成プログラム「i-HOPE 」2023 新事業創出イノベーションプログラム」の第5回、第6回の講義内容をお伝えしました。

「課題の本質はなんなのか」
これまでの講義の中でメイン講師の廣川氏は何度も伝えてくださいました。

今回実施したフィールドワークでは、課題の本質にたどり着けたのでしょうか?

今回のアイデアをブラッシュアップするもよし、再度課題の本質を検討しなおし、全く別のビジネスプランにするもよし。

中間発表では各チームどのような発表をするのか、とても楽しみですね。